スーパーGT第3戦鈴鹿の暫定リザルトに“抗議しなかった”者たちの事情。チームごとに見解は異なるも、規則整備を求める思いは同じ
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーGT第3戦では、レース終了直後に発表された暫定リザルトに関して多くのチームから抗議が出された。この時抗議を提出しなかったチームの関係者に、その背景を聞いた。
大クラッシュによりレースが途中終了となり、そのレースリザルトの確定に1週間を要する混乱の1戦となったスーパーGT第3戦鈴鹿。当初発表された暫定リザルトに多くのチームが抗議したことから、優勝チームが覆る事態となったが、その中で抗議を実施しなかった“少数派”のチームにその見解を聞いた。
赤旗中断のまま終了が宣言された同レースは、その時点で3号車Niterra MOTUL ZがGT500クラスのトップとなっていた。彼らはGT500で唯一、2回の給油義務の内1回しか消化していないチームだったが、暫定結果ではその3号車の優勝と発表された。
このリザルトに対して抗議を提出したのは、実に10チーム。カーナンバー順に、TEAM IMPUL、TGR TEAM ENEOS ROOKIE、Astemo REAL RACING、TGR TEAM WedsSport BANDOH、TGR TEAM au TOM'S、TGR TEAM Deloitte TOM'S、TGR TEAM ZENT CERUMO、TGR TEAM SARD、Modulo Nakajima Racing、TEAM KUNIMITSUの10チームだ。
15台で争われるGT500において3分の2のチームが抗議を提出したということになるが、優勝となったNDDP RACING、そして同チームと同じオペレーション体制を敷くNISMOを除外すれば、実質的に10/13チームが結果に異を唱えたと言える。
その一方で、抗議を提出しなかったKONDO RACINGとARTA(2台体制)はGT500でも“少数派”となった。彼らが抗議をしなかった背景にはどういった事情があるのか? それぞれのチーム関係者から話を聞いた。
まずKONDO RACINGに関しては、実は抗議の意思があった模様だ。ただ、抗議は書面で提出する形となっており、そこにはチーム監督の署名が必要。しかし近藤真彦監督は既にサーキットを離れてしまっていたため、抗議が“できなかった”というのが実情のようだ。
KONDO RACINGはじめ、抗議を行なったチームの多くを占めていた見解が、昨年の第2戦富士を終えて示された見解と辻褄が合わないという点だ。
昨年の富士戦も同じくクラッシュにより途中終了となったが、2回の給油義務は撤廃に。これについて服部尚貴レースディレクターは当時、フルポイントが付与される基準となるレース距離75%を消化できなかった、つまり「ちゃんとレースが成立しなかった」ことを踏まえて給油義務を撤廃したと説明しており、逆に「レース距離75%に達していたら、2回ピットに入っていない車両に対してペナルティが出ていたと思う」と話していた。
そして今回の鈴鹿戦はレース距離75%に到達してフルポイントが付与されたが、給油義務を消化していない車両にペナルティが出ずに暫定結果が出された。そのため、裁定の一貫性や過去の見解との整合性について疑問を持ったチームが多かったようだ。
KONDO RACINGの関係者も、そもそも昨年の富士戦を終えて以降、レース途中終了となった際の給油義務の取り扱いについて明確な規則が設定されていなかったことが今回のような一件を引き起こしたと考えている一方、規則文が全てのイレギュラーに対応できないケースもあるとして、その場合は審査委員会が納得のできる、理にかなった裁定を下してほしいという思いもあるようだ。
そして一方のARTAに関しては、KONDO RACINGのように抗議が“できなかった”のではなく、鈴木亜久里監督含めたチームの意向として抗議を提出しなかったという話が聞こえてきた。
ARTAの複数の関係者から話を聞くと、彼らとしては明文化されていないルールを適用することについて疑問視しているようだ。
前述の通り現状スーパーGTでは、450kmレースで設定される給油義務を赤旗終了などの不可抗力により消化できなかった際の処遇について明文化されておらず、昨年のブルテンでは「ピットイン義務等の適用は、審査委員会により見直される場合がある」と記されるにとどまっている。
つまり、過去の裁定や見解との整合性はさておき、規則に明確な記載がない以上、3号車にペナルティを与えることはできないのでは、との考えのようだ。もちろんARTA関係者も3号車優勝の裁定には釈然としない部分はあったようだが、そういった“情”の部分は規則と切り離して考えるべき。そういった見解のようだ。
このように、チームによって見解は様々であることが明らかとなったが、それでも「規則を明確化するべき」という思いが共通しているのは確かなようだ。多数のチームの抗議の結果、ペナルティで4位に降格となったNDDP RACINGは「今後の規則の明確化を約束された」ため、正式な控訴手続きをしなかったと明かしていたが、他のエントラントレベルにもその話は降りてきている様子で、8月の第4戦までには規則について何らかのアクションがありそうだ。
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