元レッドブルジュニアの逸材、イゴール・フラガが生まれ育った日本で“再出発”。国内カテゴリーのシート掴めるか?
eモータースポーツ、そしてリアルのモータースポーツの両方で活躍するイゴール・フラガは今年、故郷の日本に帰ってきた。そんなフラガが日本行きを決めた背景について聞いた。

スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーション(JRP)は先日、グランツーリスモの世界選手権でチャンピオンに輝いた経験を持つイゴール・フラガをe-Motorsportアンバサダーとして起用することを発表した。現在24歳のフラガは、金沢で生まれ12歳まで日本で過ごした日系ブラジル人ドライバー。今年日本へと帰郷し、レースキャリアの再出発を目指しているのだ。
幼少期を日本で過ごしたフラガにとって、日本語はお手の物。もちろんインタビューも日本語だ。「6年くらい全然喋ってなくて。でもグランツーリスモを通じて日本の友達ができて日本語を話す機会が増えて、だいぶ戻って来ている感じです。まだ多少詰まるところもありますが、なんとか(笑)」と笑う。ちなみに日本語、そしてブラジルの公用語であるポルトガル語はもちろん、英語も堪能、スペイン語も少し話せるマルチリンガルだ。
フラガは日系3世ブラジル人のため、コロナ禍の影響で日本への入国は容易ではなかったが、日系2世の母が先に入国してビザを取得することで、その家族として8月にようやく来日が叶った。彼はこの決断に至った経緯を次のように語る。
「2020年にはFIA F3に参戦しましたが、コロナの影響もあって去年は何も乗れませんでした。レースをまた再開するにあたってヨーロッパでは難しい部分もありますが、僕は日本語も喋れるので日本で再開できたらいいなと思いました」
フラガは2020年、F1直下のレースシリーズであるFIA F3にステップアップ。しかも彼はそれまでの活躍がレッドブルの目に留まったことでレッドブルジュニアドライバーに選出され、活躍次第ではFIA F2、そしてF1への昇格が目指せるという、キャリアの中でも大きなチャンスだった。
しかし、所属チームは弱小のチャロウズだった。トヨタ・レーシングシリーズで角田裕毅やリアム・ローソンらを下してチャンピオンを獲得したフラガにレッドブルが目を付けたのは、フラガがチャロウズと契約した後のことだったのも彼にとっては悔やまれる。同年のランキング最下位チームとあっては上位進出もままならず、フラガは入賞1回のシリーズ24位でシーズンを終えた。レッドブルの契約も、同年限りで終了となった。

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
フラガは当時をこう振り返る。
「あのシーズンは色々と厳しいシーズンでした」
「ヨーロッパでは大体、前の年の10月くらいに良いところ(のシート)は全部決まってしまいます。僕がサインしたのは1月頃で、あまり良くないチームと契約を結ぶことになり、1年目は学びを前提としたシーズンを送り、2021年に良いチームに乗れたらと思っていました」
「その契約を結んだ直後にレッドブルジュニアに入れました。それからトップチームにも声をかけてもらい、もしかしたら2021年には良い体制で乗れるのではないか、という感じでした。最後の方はハイテックからポストシーズンテストに参加してトップ10に食い込むことができたり、結構良い結果を残せたので、良いチーム、良い体制で2021年に乗れていたらどうなっていたのかなと思う部分もありますが……」
「(レッドブルともっと早く契約できていれば2020年の段階で)もっと良いところに行けたかもしれないので、タイミングがうまく噛み合わなかった部分もあると思います」
シートを失い、日本にチャンスを求めたフラガ。来日後は国内カテゴリーのシートを得るため早くも動きを見せており、先日は岡山で行なわれたB-Max Racing Teamのテストに参加。国内外の猛者にも引けを取らないタイムを記録した。
「やっぱりフォーミュラのレースも出たいですし、日本の最高峰カテゴリーのスーパーGTにも興味があります」と語るフラガ。先日行なわれたeスポーツ選手権『TOYOTA GAZOO Racing GT Cup GRAND FINAL 2022』では、世界中の猛者を下してチャンピオンに輝いた。e-Motorsportアンバサダーという役割を通して国内外にモータースポーツの魅力を発信するのも彼の仕事だが、彼のリアルレース界での再出発にも注目だ。
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