ジュリアーノ・アレジのスーパーフォーミュラ初優勝を可能にした5つの要因

代役出場でありながら、スーパーフォーミュラ参戦2戦目にして初優勝を遂げたジュリアーノ・アレジ。彼が荒天のオートポリスで勝利を掴んだ5つの要因について紹介する。

ジュリアーノ・アレジのスーパーフォーミュラ初優勝を可能にした5つの要因

 オートポリスで行なわれたスーパーフォーミュラ第3戦では、Kuo VANTELIN TEAM TOM'Sのジュリアーノ・アレジが優勝した。WEC(世界耐久選手権)にフル参戦する中嶋一貴の代役として第2戦鈴鹿に続いて出場したアレジは、荒天により途中終了に終わった難しいレースをポールトゥフィニッシュで締めくくったのだ。

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 アレジがスーパーフォーミュラ参戦2戦目で挙げた優勝は快挙と言えるだろう。外国人ルーキーの優勝と言えば、後にF1へと昇格したストフェル・バンドーン(2016年)やピエール・ガスリー(2017年)の例が記憶に新しいが、GP2(現FIA F2)王者の彼らをもってしても、優勝までには4戦以上を要している。外国人ルーキーの参戦2戦目での初優勝は、2006年(当時はフォーミュラ・ニッポンの名称で行なわれていた)のロイック・デュバル以来であり、その前となると1996年のラルフ・シューマッハーまで遡る。

 アレジがこのような快挙を成し遂げるにあたっては、様々な要因が複雑に絡み合っていた。今回はその中から5つの要因をピックアップする。

1. 天候

 

 まず何といっても、オートポリス特有の悪天候なしにはアレジの初優勝は期待できなかっただろう。

 アレジにとってスーパーフォーミュラでのデビュー戦となった第2戦鈴鹿は、予選8番手から決勝9位とまずまずの成績だった。これはチームメイトの宮田莉朋が6位でフィニッシュしたことや、アレジが鈴鹿公式テストで総合9番手を記録していたことなどを考慮すれば、ほぼ想定内のリザルトだったと言える。

 しかしそれとは対照的に、高低差のあるテクニカルサーキットであるオートポリスはアレジにとって未知のサーキット。確かにかつてのガスリーのようにルーキーがオートポリスを制した例もあるが、前述のようにアレジはまだ2戦目であり、既に4レースを消化していた当時のガスリーとは少し状況が違っていた。

 そんなアレジの“経験不足”というハンディキャップは、雨によってほぼ無効化されたように思う。今回のようなウエットコンディションでは、サーキット自体の詳細な知識以上に、コース上のどこに川などの“罠”があるのか、どこでプッシュしてどこでアクセルを緩めるべきなのかを見極める能力が必要だったに違いない。そのような状況でさらにアレジを助けたのが……。

2. スーパーフォーミュラ・ライツとのダブルエントリー

三宅淳詞(写真手前)に次ぐ2番手でフィニッシュしたアレジ

三宅淳詞(写真手前)に次ぐ2番手でフィニッシュしたアレジ

 アレジは今回のオートポリス戦で、スーパーフォーミュラとスーパーフォーミュラ・ライツ(SFライツ)の両方にエントリーしているただひとりのドライバーであった。今季から来日してトムスと契約したアレジは元々、スーパーフォーミュラへのステップアップカテゴリーであるSFライツを主戦場とする予定だった。しかしスーパーフォーミュラのレギュラーである中嶋が、WECとの兼ね合いで検疫期間を確保できないことから多くのレースを欠場する運びとなり、その代役候補としてアレジに白羽の矢が立ったのだ。

 鈴鹿戦でも同じくスーパーフォーミュラとSFライツにダブルエントリーし、大忙しのレースウィークを送りながらもフィジカル面では問題がないことを証明してみせたアレジ。今回のオートポリス戦では、スーパーフォーミュラの予選と決勝の前にそれぞれSFライツのレースがあり、そこでアレジはヘビーウエットとなっている路面のどこにグリップがあってどこにないのか、それらを“予習”することができていたのだ。

 スーパーフォーミュラ予選に先立って行なわれたSFL第7戦でアレジは、ライバルがスピンやコースアウトで続々と順位を落とす中、冷静な走りでコースに留まり、9番手スタートから2位を獲得した。この経験が、スーパーフォーミュラ予選でのポールポジション獲得に大きく貢献したはずだ。

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3. ピット位置

トムス勢が先陣を切ってコースへ

トムス勢が先陣を切ってコースへ

 予選ではアレジがポールポジション、宮田が2番手を獲得し、トムス勢のフロントロウ独占となったが、これにはピット位置の割当も無関係ではなかっただろう。

 今大会では、Kuo VANTELIN TEAM TOM'Sのピットがピットレーン出口に最も近い位置にあった。今回のようなウエットコンディションでは、誰しもが一番先にコースへ繰り出し、出来るだけ早いタイミングかつクリーンな位置でタイムアタックを行ないたいものだ。逆にピットアウトが遅れてしまうと、前を走るマシンのトラフィックやイエローフラッグ、そして赤旗中断の影響を受けるリスクが高まってしまう。そういった状況で、トムスは最も有利に予選を進められたチームと言える。

 現に予選では、トムスがフロントロウを独占しただけでなく、彼らに次いで2番目にピット位置が前(ピットレーン出口寄り)だったP.MU/CERUMO・INGING勢も健闘。阪口晴南が3番グリッド、坪井翔が5番グリッドを確保した。その一方で、ピット位置が後ろ(ピットレーン入口寄り)だったチームのドライバーからは不満の声も聞こえてきている。

4. スタート

 

 最終的に決勝レースが本来の半分の距離も消化できずに赤旗終了になったことを考えると、ポールポジションスタートのアレジがスタートをしっかり決めたことは非常に大きかった。デビュー戦の鈴鹿ではスーパーフォーミュラ特有のトリッキーなクラッチミートに順応できず、スタートで失敗したアレジだったが、同じ失敗を繰り返すことなく今回は完璧な蹴り出しを見せ、2番手以下を引き離して1コーナーを立ち上がっていった。後続では1コーナーで接触が起きて混乱が生じていたため、もしアレジがスタートで失敗していればそこに巻き込まれていたかもしれない。

5. 関口のミス

 スタートでの混乱をくぐり抜け、アレジに次ぐ2番手に浮上したのが、4番グリッドスタートの関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)だった。関口はオープニングラップでアレジの背後につけてプレッシャーをかけていたが、程なくしてセーフティカーが出動した後、リスタート直前に最終セクションでコースアウト。勝負権を手放してしまった。

 代わって2番手に立ったのは松下信治(B-MAX RACING TEAM)だったが、アレジは彼の追撃を許さなかった。そして2度目のセーフティカーがコースインした後、セッションは赤旗中断に。そのままレースが再開されることはなく、アレジの勝利が確定したのであった。

 

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