黄旗区間通過でも“減速してれば”予選タイム有効。フェラーリ代表は“危険な判例”と警鐘鳴らす「次クラッシュが起きても全員プッシュするだろう」
フェラーリのフレデリック・バスール代表は、オーストリアGP予選でマックス・フェルスタッペンがクラッシュした際にすぐダブルイエローフラッグが提示されなかったことは、危険な前例を生むと警告した。
Frederic Vasseur, Ferrari
写真:: Andrej Isakovic / AFP via Getty Images
F1オーストリアGPの予選では、Q3終盤にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がクラッシュした際のイエローフラッグへの対応が結果の明暗を分け、話題となった。フェラーリのフレデリック・バスール代表はこの際の対応について警鐘を鳴らしている。
フェルスタッペンは、最終区間のターン9でスピンしてアウト側のウォールにクラッシュ。この時メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリはダブルイエローフラッグが出たと誤認してアタックを中断した(※ダブルイエロー下では当該ラップタイムが抹消となる)が、実際にはイエローフラッグは1本しか振られていなかった。そしてその後ろを通過したチームメイトのラッセルは当該区間で減速しつつもアタックを継続。その結果ラッセルは最速タイムを更新してポールポジションを手にした。
ラッセルがタイム更新するまで、タイムボードの最上位にいたのはフェラーリのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールだった。もしレースコントロールがフェルスタッペンのクラッシュを受けてただちにダブルイエロー対応をしていれば、ラッセルも大幅な減速を強いられることになり、フェラーリはフロントロウを独占できていたはずだ。
FIAはミニセクターのタイムデータから、ラッセルが規定に従って十分に減速したと判断したものの、レースコントロールがダブルイエローや赤旗を提示しなかったことは、パドック内で議論を呼んだ。
バスール代表はSky Germanyのインタビューの中で、このような判例が生まれたことによって、ドライバーたちはアクシデントが起きてもプッシュを続けるようになるだろうと指摘する。
その一方で、彼はラッセルが見せたパフォーマンスを称賛した上で、イエローフラッグの規定を遵守していたラッセルのアタックを有効としたFIAの裁定自体は正しかったと強調した。
「まず第一に、ダブルイエローが出されなかったことに少し驚いている」
「メディカルカーが出ている時点で、ダブルイエローになるのは当然だと思うが……またそれは別の話だが」
「ただジョージは素晴らしいアタックをまとめた。そこについてどうこう言うつもりはない。ルールではミニセクターで5%減速しなければならないことになっているが、我々はそのデータにはアクセスできないので、レースコントロールが確認したということだろう。我々は彼らを信頼しているし、信頼できなくなったとしたらそれこそ大問題だ」
「お咎めなしの裁定が出たということは、彼らがきちんと確認したからだろう。ポイントはそこではなく、このケースでなぜダブルイエローにならなかったのかという点だ」
「この一件のネガティブな面は、次の予選でクラッシュが起きた時、みんなプッシュするだろうということだ」
ステラ「現在のルールは意図どおり機能している」
ダブルイエロー区間で記録した予選タイムを抹消する規則は、2022年からF1の競技規則に正式に盛り込まれた。これはそれ以前、ダブルイエロー区間を通過しても「十分減速した」と判断されタイムが認められるケースが相次いだことを受けてのものだった。当時レースディレクターを務めていたマイケル・マシの下、2021年からまずイベントノートに盛り込まれ、その翌年から正式な条文となった。
一方でイエローフラッグ1本の場合は、十分に減速していればラップタイムは有効となる。マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、この区別は必要だと語る。
「ダブルイエローでラップタイム抹消になるというここ数年の変更は歓迎すべきだと思う。その区間では、ドライバーは絶対にプッシュしないようにしなければならない。しかし、ダブルイエローとシングルイエローの区別が存在する以上、スチュワード、マーシャル、レースディレクターらが『今回はシングルイエローで十分だ』と判断したということだ」
「そうなるとあとはドライバー自身の判断に委ねられる。そして攻めすぎれば、当然ペナルティを受けることになる」
「私個人としては、この点について現在のルールはうまく機能していると思う。
ステラはまた、ラッセル自身も非常に適切な対応をしたと評価した。
「GPSデータを見る限りでは、ラッセルはうまくリフト(アクセルオフ)をしたと思う」
「ブレーキング前に速度を落とし、ターン9でわずかにタイムを失った。しかし、そのロスはポールポジションを獲得できる程度に小さいものだったのだ」
「この行為がイエローフラッグ規則を満たしているかどうかは、最終的にはスチュワードの解釈次第だ。しかし実際に減速という行動はしている。ドライバーたちは通常のドライビングだけでなく、このようなイエローフラッグ下で求められる操作も非常に巧みにこなす」
「これは非常に際どいケースではあったが、スチュワードがこれを認めたことについて、私は特に異論はない」
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