弱点はパワーユニットと認めるアウディ。追加開発があっても「奇跡」は起きないのはなぜ?
アウディF1はパワーユニットが現状で最大の弱点になっていると認める。アップデート機会を活かしたいところだが、それでも一気に状況を改善することは難しいとマッティア・ビノットが語った。
Gabriel Bortoleto, Audi F1 Team
写真:: Sam Bloxham / LAT Images via Getty Images
アウディF1のマッティア・ビノットは、現状ではパワーユニット(PU)が最大の弱点になっていると認めた上で、アップデート機会を得ても急速な改善は難しいと語った。
2026年からザウバーを買収してF1に参戦しているアウディ。PUも自社製となり、ワークス体制でのF1参戦となっている。
今シーズン開幕3戦から見えてきたのはアウディが予選で好成績を収めても、決勝ではライバルにあっという間に抜かれてしまうことだ。彼らはスタートで苦戦しているが、それはアウディPUの抱える問題のいち側面に過ぎない。
一例として日本GPを振り返ると、アウディはガブリエル・ボルトレトとニコ・ヒュルケンベルグがそれぞれ9番手と13番手で予選を終えたが、オープニングラップ終了時には13番手と19番手に後退していた。アウディのPUは比較的大型のターボコンプレッサーを採用しており、高い過給圧を得る代償として慣性が大きく、ブーストの立ち上がりが遅れる傾向にあると理解されている。
これはスタートの遅れの一因となるだけでなく、ラップ全体にも影響を及ぼす。ターボが回転数を上げている間に必要なトルクを確保するため、パワートレインの電気系統への負担が増すからだ。そのためアウディは1周あたりに回収・使用できるエネルギー量には制限がある中でも、内燃エンジン出力の不足を補うためにその一部を消費せざるを得ず、結果としてライバルに対して不利な状況に置かれている。
チームとしては新レギュレーションでPU性能で後れを取っているメーカーに与えられるADUO(追加開発機会)制度があったとしても、短期的な解決策は無いと認めるところだ。なおADUOの最初の評価基準は、6月初旬のモナコGPまで遅れる可能性もある。
「(日本は)ひどいスタートだった」
アウディのCEO兼チーム代表のマッティア・ビノットはそう語る。
Bortoleto lost five places at the start in Japan
Photo by: Simon Galloway / LAT Images via Getty Images
「今回が初めてのことではない。つまり、明らかに(スタートが)我々の強みではないということだ。現時点で対処できていない理由は、簡単に修正できる問題ではないからだ」
「しかし一方で、これが最優先事項であることは理解している。なぜなら、良い予選を過ごせても、スタートで全てのポジションを失うのであれば意味がないからだ」
アウディにとって事態を難しくしているのは、変更の余地が限られていることだ。シャシーとエンジンは密接に統合されているため、コンプレッサーサイズのような設計は、シーズン中に簡単に見直すことができない。そしてそれだけではなく、FIAの定めるADUOの枠組みではある程度の変更の余地は与えられているものの、その範囲と期間は限られている。
FIAの性能指標に基づき、基準エンジンより2〜4%遅れていると判断された内燃エンジンには、即時にひとつの変更が許可される。4%以上遅れている場合には、テストベンチ使用時間の増加やコストキャップの柔軟性など、より多くの優遇措置が与えられる。
しかしADUOは迅速な問題解決のための制度ではなく、そもそもそのように意図されていない。エンジン開発は車体開発よりも長期的なプロセスであるため、緩やかな方向転換を可能にして競争力の差がシーズンごとに固定化されるのを防ぐように制度が作られている。
当初、ADUOの評価ポイントはシーズンを通じて四半期ごと(全24戦なら6戦ごと)に設定されていた。しかし2026年は中東2戦が中止となったことで、最初の”チェックポイント”が何時になるか、現在議論中となっている。その結果次第で、第4戦マイアミGPとなる可能性もあれば、第6戦モナコGPになる可能性もある。
さらにADUOで追加開発が認められたとしても、必ずしもすぐに実施できるとは限らない。
Mattia Binotto is also Audi's team principal for now
Photo by: Jakub Porzycki / NurPhoto via Getty Images
「エンジン開発のリードタイムは非常に長い」とビノットは説明する。
「我々は、トップチームとの差の大部分がパワーユニットに起因していると考えているが、それは予想外のことではない。我々はそれが最大の課題になることを理解していたんだ」
「そして挽回するための計画もある。しかしエンジン開発、特にコンセプトに関わる部分では時間がかかる。だからこそ我々は(タイトル争いの)目標を2030年に設定しているんだ」
「時間がかかることは分かっている。我々に今必要なのは忍耐なんだ」
「我々は非常に野心的であり、数レースで問題を解決したいと思っているが、現実はそうではない場合もある」
「だからこそ、自分たちの現状と計画を正確に理解し、それを堅持する必要がある。奇跡は起こせないものだからね」
「我々は奇跡を起こすためにここにいるわけではない。そういうのは自分たちのやることでも、やり方でもない。我々は将来に向けて問題に対する適切な計画を立てて、改善していくためにここにいるんだ」
「そして、それは可能なことだと思う」
【PR】2026年のF1を見るならFOD。至極の体験『F1 TV』連携プランも!
記事をシェアもしくは保存
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。